銀の髪をした美しい女性が歌を歌う彼女はシルリラ、バードと呼ばれる吟遊詩人激しい戦いの歌、切ない恋の歌、穏やかな失われた故郷の歌を…。「まだシルリラは待っているのか?」兵士の一人が呟く「ああ、死んだ事を受け入れずに 生きて戻るのを信じてる可哀そうに」「彼は 貴族の二男 美形で 本当に良い奴だった残念だ美しいシルリラと並ぶと まるで美しい絵のようだったあんなに互いを深く愛し合った二人なのに」シルリラは歌う「戦の嵐が吹き荒れる この大陸の覇者は一体誰? 果てない戦 いつか終わりが来る我らが主たちの勝利を祈り 信じて我らは戦う勝利の為に 愛する者たちの為に♪」リュートと歌の調べが終わり酒場には 拍手が起こるシルリラはそっと目立たぬように彼女は休憩の為に酒場の隅に座り食事を取っている。そこに「シルリラ いい歌だったよ」「アライア 有難う 嬉しいわ」「俺の兄の事は もう諦めた方がいい」「・・・・」悲しそうにうつむくシルリラ「俺も戦に出るギデオン様やイーサン様達の為にお役に立ちたくて」「ねえ、貴方も行くのね」「俺が無事に戻れたら・・俺との事を考えてくれないか シルリラ?」「アライア」「愛してるシルリア」「・・わからないわ でも・・貴方の事がとても心配よ 行って欲しくない戦に出なくても 幾らでもお役に立てるのじゃない?貴方の兄ハンソンもそうだったどうして私の大事な人は戦に行きたがるの?」「泣かないでくれ、すまない騎士として生まれ、この大事な時に自らの身や命を捧げるのは兄ハンソンも俺も同じだ」「考えてみるから、必ず帰ってきて」「約束する」その後の事である。アライアの行った戦地が激戦だと聞きシルリアは不安と悲しみで涙したのだった。そんな気持ちを押し殺して 吟遊詩人としてただ歌い続けている無事にアライア達がやがては…戻るって来ると信じて
「僕の可愛い人、眠れる白雪姫さん、寝顔が今日も可愛いね」 宇宙飛行士の男が微笑む 愛しい恋人はコールドスリープ装置の中で 冷凍保存中 「愛しているよ、君が目覚めるのは百年と三日後の予定、移住する惑星まで百年か…」 コールドスリープ、未来のテクノロジー 亜空間移動、ワープ航法が出来る…前は 宇宙船が長い時間、数十年、数百年の歳月をかけて 移動しなくてはならなかった。 或いは未開の惑星で大きな怪我などで 宇宙船、または設備の整った医療機関に運ぶ前、一時的に 身体の治療をする為に身体を冷凍保存する事も 良く、使われたのは 移住する惑星への移動、数十年、数百年の歳月を かけて、多数の人達、動物などを 冷凍保存して、宇宙船で運ぶ。 一人のサイボーグ、半機械化された人物が 恋する人を、冷凍保存された恋人をまた眺めていた。 それは愛しく、切なく 「録音の君の歌声は最高だよ、もう1000回は聴いたかな?」 「早く君の歌がまた聞きたいよ」 サイボーグとなったのは宇宙飛行士 移民船、移民の宇宙船を操縦する為に 彼は半機械化してサイボーグとなった男 「まあ、君と同じく冷凍保存でも良かったけどね」 軽く装置、顔の部分にキス 「優秀な宇宙船の宇宙飛行士だから、仕方ないさ」 静かに深淵深き闇色と星達の輝きに包まれた宇宙空間 その中を宇宙船は飛び去ってゆく。
綺麗で華やかなクリスマスの飾り それにクリスマスツリー静かに外には雪が降り積もる。「あ、もうクリスマスツリーの傍にぶら下げていた靴下に何か入っている!」それは嬉しそうな声「頼んでいたクリスマスのプレゼント?プラモとか?好きなアニメの分?」「それとも、何か他かな?素敵なものだと良いな♪」小さな愛らしいお子様がそれはそれは嬉しそうに靴下を見て‥次には目を見開き、口元を歪ませた。口がパクパク、声が出ないようだ。「・・・・・・」青くなり、蒼白な顔の可愛らしい小さなお子様「あの」ようやく、少しだけ声を出す、お子様モコモコと靴下から出てきたのは小さな一つ目の小人、何故?「やあ、メンコィのおお(可愛い・・と言いたいかも?)でへでへ」嫌な感じの笑い顔、そんな笑顔を振りまくのだった。口から少しヨダレが(/ω\)イヤンな感じ他にも、靴下の中には酒に酔ったような叔父様な小人さんとかも出て来る「ジングルるううべええるうううう 鈴が鳴るううう」酔って謡っている小人「・・・・」小さな可愛いお子様は青い顔をして黙って‥その場に立ち尽くすのだったあああああああ、素敵過ぎるクリスマスの季節の中、クリスマスソングが素敵な感じで鳴り響く。
暖炉の火がパチパチとはじけた 「暖かいね」「ええ」スキーを楽しみ、レンタルした小さな家で 暖炉の傍で恋人同士は会話している。 小さな近くにあるテーブルに置いてある小さな機械からは クリスマスソングの『きよしこの夜』の音楽が流れていたのだったアメリカ風にマシュマロを棒につけて暖炉の火であぶり口にする二人の恋人たち。 「甘いね」「うふふ、ねえ、他にもサンドイッチもあったわね 果実も」「お酒はワインにブランデーピーナッツバターとべーコン、レタス入りのトーストも…あるよ」彼は微笑して言う。 「知っているかい?『きよしこの夜』はイブ前日の夜に オーストリアの小さな教会で生まれたんだよ」 パイプオルガンがネズミにかじられて壊れた」「困った副司祭さまだったけど 生まれた子の祝福を頼まれて 夜にその子の家に‥ 闇色の星空 満天の星が彼を優しく包む」「彼は聖母マリアを思わせるような母子を祝福した後その夜空を詩にして、演奏者に詩をギターでも弾けるように作曲を依頼」「次の日、ギリギリできたのがサイレントナイト きよしこの夜 原題はシュライーレ・ナハト」「ココアにしようか、それとも珈琲か紅茶?」「ホット・オレンジもいいかも」 「ワインもある チーズもね」恋人たちはそんな会話を楽しそうに 暖炉の前でしていたのだった。
そう、思えば、血の海だった。いつも、いつも、いつも……。兵士として、果てしない戦争で戦う。そうして、今の身体は…自分の機械化した身体、ただ戦うための身体。エネルギー源は魔法の力を持つ輝く石、魔法石魔法の石の力で初級クラスの攻撃くらいは使う事も可能だ。機械化と魔法の石で強化された私の身体私の大事な愛する家族や恋人、友人達は敵国の者達に血の海に沈められた殺されてしまったそうして、跡形もない廃棄された廃墟の故郷の街だから、私は戦う。「私の愛した婚約者のマリアン、父さん、母さん…友人達、私の愛しい人達」過酷な戦争の中で、戦闘で私の頭の半分を吹き飛ばされて、記憶の多くは無くしてしまった。帰りたい、帰れないあの故郷には…もう何もない廃墟の故郷この戦いが終われば、休めるのだ永遠の眠りの安らぎを約束してもらった夢の中ならば、帰れる 幸せだった過去の時間、僅かな記憶の中にいる優しい愛する人たちが待つ処へだから戦う、最後の戦いを…もし途中で この身体が敵に砕かれたとしてもそれも運命この身体は涙を流す事も出来ない。 前線の小さなベースキャンプ地で私はまた、調整と修理をする。そうして、それから…「機械魔攻兵士c1247、.調整と修理は完了だ」「了解した」機械魔攻兵レイムスはまた剣と銃を手に取る。
チャポーン チャポン、チャポン弾く、水の音が心地よい〜白い湯けむりも良い感じ!ああ、温泉は最高だな、気持ちよく、ほぐれて身体も心もほどけてゆく気分し・か・もしかもだ!なんと、なんと!なんと混浴、いわゆる野外、自然の中にある露天風呂なのだ あははははっ僕は幸せだ!素晴らしい、神さま、ありがとうございます天にも昇る気分!最高だ!綺麗なおね〜様たち、綺麗なスベスベの肌に眩しい胸の大きな膨らみとかだ!なんて素晴らしい考えるだけで楽園か天国!綺麗で可愛いおねー様とか熟女の魅力の奥様とか愛らしいお嬢様たちとの混浴‥のはずだったがだか、しかし何故かいるのは…多分、後、二十年以上若いかったら‥と思う老年の、多分、昔は美人だったはずのご年配方になぜか御猿さんとか‥山の露天風呂、ああ、最高の自然の中…あああー!何故なの〜〜!そんな!「いやあ~坊ちゃん可愛いのおお」「ふおふぉおお」「若い子の肌はスベスベ〜じやなあ!ギャハハ」「きいいきききき」おサルさん達が何か言っている‥(T_T)しくしく「あ、坊ちゃん、温泉卵とか日本酒はどうかの?」「いやあ、ダメじやよ、未成年にお酒はだめだよお きゃはは」ご年配の方がに愛されているかもしれない 僕がいる あううううう。
舞台は欧州のローマ、イタリアに住む従兄弟のもとに遊びにきた…まだ幼い子供だった頃の話それは懐かしい思い出の白昼夢ナイルの箱庭…皇帝の銀貨…あの時の銀のコインが今も私の手の中にある…あの束の間の思い出あれは夢、幻 ナイルの箱庭中世のローマ貴族の郊外の邸宅の庭、そこは沢山の噴水もあって小さな噴水が並ぶ小道で笑いあう 次には緑の迷路でかくれんぼで遊びルクレチア・ボルジアが嫁いた貴族の屋敷美しい場所の中、近くにはハドリアヌス帝の広大な別邸それから…僕の従兄、彼は言う歳上の従兄弟は笑いながら言うのだ「この近くに五賢帝の一人、ハドリアヌス帝の別荘跡地があるよ、遊びに行こうか」 歳上の従兄弟に誘われ、行ったのは…広々とした遺跡の跡地…円形のドーム型の泉やら建物の跡緑の野原で見かける数多くの彫像…其処にあるのは、まだ年若い青年像アンテオキア歳上の従兄弟に誘われ、行ったのは…広々とした遺跡の跡地…円形のドーム型の泉やら建物の跡、そして緑の野原で見かける数多くの彫像…まだ年若い青年像アンテオキアエジプトにも似た名前の都市がある…彼の名前から取ったものだと言う この遺跡のテイボリとは縁が深いハドリアヌス帝とアンテオキア従兄弟は、僕の顔をしみじみと覗き込み、呟いた…「そう言えば、似てるよね」「誰に?」「君が この彫像のアンテオキアに似てるギリシャ系で情感的で綺麗な顔立ち…柔らかな髪の毛とか…ふふ」愉しげに笑う従兄弟「このテイボリは彼の別荘跡地…あ!見てごらん」従兄弟の彼が指さすのは長方形の池 周りに白い彫像や柱の後がある…それからワニの彫像そこはナイル川のイメージで創られたもの…ナイルの箱庭さ‥‥「アンテオキアはエジプトのナイル川で溺れてワニに食べられたんだよ、本当かどうか…分からないけど…古代エジプトの人達はワニに食べられた人は神になるらしいって信じたってハドリアヌス帝は 嘆き悲しんで それから 愛する人へのモニュメントを沢山 作ったんだエジプトに神殿を作り それから・・新しい都市に 愛するアンテイキアの名を付けてそれでも まだ哀しくてこの巨大な別荘・・彼が廻った都市の箱庭にも 沢山 彫像を置いたのさ
「ここ、ナイルの箱庭のワニの彫像に触れてごらんよ」「え?」僕が驚くと従兄がにっこりと笑って答えた。「そっとだよ」まるで念を押すように 静かな声で彼は言う。「ただし、左手の一指し指で…そっとだよ」「じゃないと、ワニが目を覚まして、君を食べられちゃうかもね」従兄は笑う言葉につられて、僕は其処にしゃがみこみ言われた通りに、左手の一指し指で、そっと ワニの尻尾に触れてみた「気を付けて…アンテイノーみたいに食べられないように…ふふ」奇妙な笑みまるで 道化師が悪戯をたくらむ 笑顔みたいに従兄の笑いに 戸惑いつつも僕は‥ワニの彫像に言葉につられて、しゃがみこみ言われた通り 左手の一指し指でそっとワニの尻尾に触れてみた「気を付けてアンテイノーみたいに食べられないように、ふふ」彼の奇妙な笑みまるで 道化師が悪戯をたくらむ 笑顔みたいに「え!」と驚き 従兄の方へ振り返った瞬間グオオオ・・という低いうなり声白いワニの彫像が 命を得たように動きだして大きな口を開けて、こちらを見ている従兄は言う「アンテイノーみたいに神になるかい?」「神として祀られるのかい?」蒼白な表情で僕は従兄を見る「神殿を建ててあげるねでも、ワニに食べられて生贄にならないといけないよね」
部屋にあるのは‥僕と、愛する人の死体壊れた部屋、そこにいるのは僕と愛する人僕の手には包丁、彼女が振り回した包丁が今は僕の手の中だ。 血まみれの包丁…そう、血塗れの…包丁この血は僕と彼女の血だった。「ええ、そうよ、私はもう絶えられないのよ」「誤解だよ、君をとても愛している、信じてくれ」「言葉だけよね、それに、、前はブランド物のバックも宝石のアクセサリーもくれたのに今は何もなくて、私にああして、欲しい、とか、こうして、とか!私も忙しいの」「料理?」 彼女が恐ろしい顔で睨み、声をあげる「料理ですって、私が作る!って、出来ないわ」「知るもんですか!私は自分の分は店に電話して注文するから、貴方の分はご勝手に、どうぞ!」「仕事の為に有名な大学卒業の私が? 私は今でも、エリートなの、貴方と違うわ」「前はこの家の住み込みのコックが作ってくれたわよね」会社を首になって、私に養われて、なんて人なのかしら?」「今となっては、そうよ、子供が居なくて良かったわ、こんな男が父親だったらと思うとゾッとする!!」最悪だった 子供もいない僕達そうして、そうして…。彼女は…彼女が……出て行くというので 口喧嘩になって、気が付いたら‥ああ、ごめんね 痛かったろう…痛かっただろう目を見開いた表情のまま、冷たくなってゆく君彼女、君が小さく、呟いた言葉「愛してるって…貴方は言わなくな…った、前は言って…愛し」涙が僕の頬を絶え間なく濡らしてゆく。
夜の闇 迷子の子供たち 数人の子供たち 辿り着いたのは・・。 パリにあるテンプル騎士団が本拠地とした搭 城塞フランス語ではタンブル‥そう、あのフランス革命でマリーアントワネット王妃たち始め 国王家族に王族、貴族たちが囚われた場所 哀しい末路を辿った国王たち夜の灯の中で 笑うのは仮面をつけた道化師 「おや、迷子だ、悪い魔物に食われるよ…ふふ」「知っているかい?」 「13日の金曜日の由来の一つ 主なるイエス様の処刑日に‥それから」「迷子のお嬢ちゃん、お坊ちゃん達 此処はエルサレムで活躍した十字軍の一つ テンプル(タンブル)騎士団の本拠地」 「まだエルサレムに居る時に建てられて1212年の頃だったか」「騎士団はエルサレムを去り、パリでフランスの王家 当時のカペー王朝を支えていたが 王さまに裏切られて 残酷にも拷問の末に罪を着せられて火刑にされた」「この国でテンプル騎士団の多く[[rb:修道騎士 > モワーヌ・シュヴェリエ]]がそうして殺され 最後の[[rb:総長 > メートル]]ジャック・ド・モレー総長」「拷問で傷だらけになった身体、炎に包まれながら呪いの言葉を叫んだとね」「1314年頃 13日の金曜日だったとか‥?本当かな」 「間もなく王は死んで、カペー朝も滅んで次のヴァロア家になったが‥」「最後のブルボン王家、ルイ16世も元はカペー、ヴァロア王家の傍流」 「処刑されたときのルイ16世の呼び名はルイ・カペー」「……」声も出ずに怯える子供たち 「ふふ‥ちょっと脅かしすぎたか さあ、子供たち 本来、騎士団はか弱い子供たちの味方だ 大丈夫 探している親の元に連れっ行ってあげるよ」 「僕は偶然、この近くにいたサーカスの道化師だ」「総長さま達はまだ苦しんでいるの?」 「どうかな、多分大丈夫 あの皇帝ナポレオンが名誉を回復させて ジャック・ド・モレー総長の名前を付けた騎士団を作ったと聞いたけど」「13日の金曜日の晩だから 気をつけて じゃないと僕みたいに悪いものに食べられるかもね」「え!」小さな悲鳴それから‥子供達が逃げ出したが…後に残った者、道化師が1人、呟く。「ご馳走様、大丈夫だよ、ちょっと血を吸っただけだから死なない、まあ、いいよね」
「待てこちらは違うではないのか? 外の竹に出てしまった」夕なぎは言う「そう言えば・・二人とも見ない顔だな?屋敷の者か?」夕なぎは問うとまどったまま 姫は三人を見つめている「・・・」「・・・・・・」にやりと・・護衛の武者と女中は笑う「今頃、気がついたのか!」「お前たちも奴等の仲間だな!」 刀を二人に向けて斬りかかる若武者キイイイン刀がぶつかりあう!そこに女中、女の間者が後ろから若武者の夕なぎ、に斬りかかるザクッ!「うっ!」「きやああ!」姫が悲鳴を上げる「・・ひ、姫 お逃げください! 右手に早く!」斬りあいをしながら、若武者は叫ぶように言う「あ・・」「早く!」「ごめんなさい!必ず助けを呼んできます」姫は半泣きしながら 後ろ髪を引かれる思いで 走りだすそうだわ、彼は…城で何度も会ったわそう、はにかんだような笑顔を見た走り逃げながらも・・思う・・ごめんなさい!死なないで!私のせいで 死なないで!助けを呼んでくるわ 死なないで!心の中で叫んだ足がもつれ、ばたりと草むらに倒れこむ「あ・・」「これは、これは姫さま」 君の悪い笑い声・・草を踏む音 がさり数人の暗殺者に取り囲まれる「おや、おや、これはこれは」「濡れ髪に、半裸姿に、衣が一枚、そそられる…ひひ」「あ…!」「おや、おびえているのかい?少し楽しませてもらっても、いいかもな」「近くの古寺に連れて行って、しばらく後に、始末をすればよいのでは?」「どれもよい…ふふふ」「た、助けて!誰か!」今にも邪な暗殺者たちの手が、のびてこようとした瞬間!シュン!1本の矢が 暗殺者に突き刺さった「ぎゃああ!」「誰だ!」「!」弓を持った一人の侍が立っている。「我は 西の国の国主の跡取り、婚約した、その姫のいいなずけ」あの人が?姫は思うそこに立っていたのは、若君の身代わりとなった若者空也であった。「姫!ふせてください}「あ、はい」姫は慌てて 草むらに伏せるシュン!シュン!矢が次々と暗殺者たちを倒す「姫!」 空也は姫を助けおこす「もう大丈夫」近くで、抱き寄せられて、その笑顔に 頬が赤くなる「あ、私!」 「あ…」半裸の姿に、今度は空也が赤くなる「・・・・」「あ!」 後ろからの殺気が!姫をかばう空也「誰だ!」他の暗殺者が数人現れる「お前
ざっと谷から降りてきて 行く手を阻む者 「盗賊か?」 「ああ!金目のものや女をもらう!」「野郎ども!」「おお!」「いくぜ!」だが 姫の御付きの者たちは手練れぞろい 簡単になぎ倒される。「我らに手を出そうとは、100年早いわ!」護衛の武者の一人が勝ち誇ったように言う「いくぞ!いまだ!」隠れ潜んでいた盗賊たちそこに隙をつくように後ろから 盗賊が襲いかかり 輿の中をバッと開ける 姫の顔を見るなり「高値がつきそうだな! 身代金か売り飛ばすか!」だが、そこに 「ぎゃああ!」「きゃあ!」 「姫!」 輿に襲いかかった盗賊を、一刀のもとに切り捨てられたのだった。 「あ!」先程の姫を見つめていた若武者 榊原 夕なぎ 「大丈夫です お守りいたします!」「有難う」姫は彼をみつめて、頬が赤くなるどうしよう、ドキドキしているわ どうしてかしら? きっと 盗賊たちに襲われそうになったからかしらねそして谷の上、木々の間から別の者たちが見つめている 一行を狙う者たち 矢を構えて 弓の弦に手をかける者 「待て!」 「? なぜ止めるのですか?」「ここでは まずい もう少し先だ」 「しかし」「ここでは奴等は木々の間に隠れてしまうだろうから」 「なるほど」 「まったく、奴等もこざかしい! 同盟など組んで、 我らの国を脅かすことになろうとはな」「いやはや まったくで ございまする」「西の国の国主の息子の一人・・養子にだされた方だが、我らの姫が嫁に行くことになってはいるのだが、話がこじれているようだ どうしたものか」「本来なら、我々の姫が、西の国の国主の花嫁となるはずだったのだが、あるいは側室では少々、立場が弱い」「なんの・・ひとまずは、あの姫さえ、消えてくれれば、それでよい」「実は間者も一行の中に潜ませておる」 「それはそれは、よい」 ニヤリと笑う暗殺者たち夕刻近くに、宿となる屋敷に到着する「ようこそ、おいで頂きまして・・たいした おもてなし も出来ませんが 何卒 ごゆるりとおくつろぎください 綾姫さま」 屋敷の主たる、大商人は、姫達に言う。大きな屋敷だが、飾り気のない造りである 離れの特別な小館に案内され ほっと一息をつく夕膳に用意されたのは 焼き魚と魚の煮付け
その頃、婚ぎ先の花婿の国では「ああ!若様!若様ああ!」「若!!」「なんたる事だ! 若様が亡くなられた これから花嫁をお迎えするはずだったのに」「流行病さえなければ、なんたる事だ!」まわりの者たちが、若き未来の主の骸を、取り囲む嘆きと悲嘆の声そっと、離れた場所から、その若様の御付きの者が見つめている。若い武者、小姓、護衛の一人 年の頃は その若様と変わらない。よい顔立ちの美貌そして、影武者や毒見役も彼の仕事のひとつだった風格のある老人、彼が、じいや、一人の男に耳打ちをした。「あい(はい)、承知いたしました」「籐野 空也よ、そちがしばらくの間は、若様じゃ」目を赤く泣き腫らしながら一人の老人が言ったのだった。「!それは どうゆう事でございましょうや?」「養子に出した弟君が戻られるまでじゃ」「弟君は、子のない親戚筋にぜひにと頼まれたが、こうなったっては仕方の無い事だ」「なにがなんでも、戻っていただく」「!」「弟君が戻られたら そちは遠出の最中に馬から落ちて亡くなったことにするそして、代わりに弟君に、花嫁と再び婚姻していただく」「親戚筋の領主は、前々から、空也、そちを欲しがっておった。あのときは 断ったが…いや、であれば…ほとぼりがさめて、戻ってきてもよしあるいは、他の主を捜してやろう、それとも別に望みがあれば叶えてやろう」「そちには、無理を頼むが、よろしく頼むぞ 空也」一人の風格のある老人が声をかける、この国の主早くに息子を亡くし 今また孫を失ったのだ。目元には涙が浮かんでいる。「!・・しかし御前さま、殿さま、それよりも弟君の帰還をお待ちしてからのほうがよいのでは、ありませんか?」御前さまと呼ばれた男はおもむろに答える「空也よ、他に手だてがない、どうしてもこの同盟は必要なのじゃ」「わかりました、そのお役目承ります」籐野 空也は 頭(こうべ)をたれた。「一大事でございます!」誰かが 慌てふためき、飛び込んできた。ささっと、おつきの者たちをはじめ、まわりの者たちが、若君の遺体を隠す。「何事だ?どうしたというのだ?」「我々の同盟を心よく思わぬ者たちが、婚礼の花嫁一行を襲うと!たった今 密偵から知らせが参りました!」「なんと!」「空也よ、そちが行くのじゃ、影武者の若君として、なんとしても、姫君を守るのじゃ!」
前世なんて ありうるの?まだ中学生の葉月(はずき)は思う「どうしようかな〜どうせ 恋の告白なんて ダメ、ダメだもん」学校の廊下 彼をそっと見つめてる 少女 風がふいて、窓から見える校庭の木々がゆれていた。彼女はまだ知らない、前世で叶わなかった恋を 今度は、この世界で それは日本の戦国の世裏切りと戦の時代 そして、欲しいものは、力で全てを奪い去る。そんな中、小国の姫である、まだうら若き乙女は思うこの時代、いえ、国の領主の娘の婚姻は 政治の道具であるのは 国の行く末を思えば、当然のことだけどでも、やはり、相手はどんな方か、気になるのは当然のこと多くの奥方がいる年寄りかも知れないし あるいは 乱暴で怖い人かも知れない 怖い恐ろしい人かも知れない。それとも、そう 物語に出てくるような素敵な殿方かもそっと、ため息をつく藤崎家の姫として…私は誰に嫁ぐことになるのかしら? 「綾姫」呼ばれて、彼女は振り返る 「どうしたの?何かあった?」急ぎ呼ばれて、着物を整えてから 小走りに廊下を走り そして、皆が待つ、大広間へと向かう。「綾姫」「どうされたのですか?」「西にある、小国の領主の息子が花嫁を捜してる」「え?」「領主の息子の名は 前橋 延高(まえばしのぶたか)」「西の小国は、豊かで 強固な軍を持っている 大事なお役目ぞ」「私を?ですか?」「そうだ」何の感慨もなく、政治の駆け引きで、トントン拍子に話は進み 1月も立たぬ間に、婚礼の準備は整えられる「綾姫様、綺麗な着物ですわね」「・・・・」ぼんやりして、心はここにあらずの姫「そのように不安になられるのも、無理のないですが、綾姫?」「大丈夫でございますか?綾姫?」「え? あ、大丈夫」 そうね、大丈夫 聞いた評判は、そう悪くはなかったのですし 心配はいらないわね…。 そう、きっと大丈夫心の中で、言い聞かせるように、まだ少女の姫君は思う。「姫さま…」そっと障子の向こう側を見る…夕刻が過ぎて、夜の闇に染まり 今度は 夜の星達が輝いている。去年の七夕のときに、祈ったことを思い出す よき人と巡りあえますように…。 そののちの事…。旅立ちの日、輿(こし)に揺られて、輿から覗き見て 後ろを見つめる 遠ざかる生まれ育った城が小さく見える。先程
大事な恋を失い そして仕事を失敗して、今では、琥珀色の酒におぼれて、人生を踏み間違えた男路地で寝ていると 男が一人、立つていた。「ん? なんだね、アンタ」「時間の魔法をかけようか 過去に戻って 人生をやり直してみないかね…代価は、そう、手に持っいる琥珀色の酒瓶1つ」男は笑う一瞬、姿が変わり、男の姿は魔法使いのローブ姿にも見えた「なんだい? まったく夢のような話だが そんな話はある訳がない、お前さんも酔っているんだね」「さて それはどうかな?」男は笑う「以前、小川で溺れかけた白いネコを助けただろう? あれは大事な友達のネコなんだ」「それ、はじめようか?」「あん?」「やり直すがいい、過去に戻り、自分の人生を!」男がそう言うと、何かの呪文を唱え、男は足元に現れた、魔法陣の光に包まれる。ぐるり、何かが酔いどれの男の周りを回転する いや、回転してるのは男自身かも知れない気がつくと雪の舞う街の中 いや、ここは 昔住んでいた街、今、現在の街じゃない自分の服も立派なスーツ姿だった。するりと一人の少女が彼の腕を捕らえて笑う「あ…アンナ?」 「どうしたのヨーゼフ」「結婚式の予約に行かないの?早く行きましょうよ」あるはずのはない、夢を見ている、これは過去の時間 失ったしまった恋の相手ある日 姿を消してしまった、私の愛しいアンナが其処にいた。風に乗って、誰かの声、囁く声過去の失敗の原因は分かっているだろう?間違えなければ、幸福な人生だ。大丈夫だ。
大きな壁が一つ… 鉄条網にとり囲まれている。壁、父親と幼い少女が壁を見つめ 少女は涙を浮かべて一言「ママ」と呟くそう、第二次大戦が終結してドイツ この国は二つに分けられた 引き裂かれた故国麗しい広場だった場所…広場幼い少女は父親の大きな手を握りしめる 「ママは壁の向こうにいるの?」父親は帽子を直してから、淋しそうにうなずく「兄ちゃんも…?」ため息が一つこぼれる。 美しく豊かな国 先のもう一つの戦いに 大恐慌に…人々の心は荒れ果てナチの台頭、大虐殺… 長い戦争新婚時代を過ごした 美しいドレスデンの街は粉々に…子供の頃に訪れた 華やかで麗しいパリの街は 今はどうなったか人々は、未だに戦いの傷痕に 苦しんでいる。傷痕だけでなく 時に明日のパンも無事に手に出来るか ユダヤ人の妻ゆえに愛する妻や子供らと 各地を転々として…隠れように過ごした日子供の頃の 懐かしい友人たち 三人の友人は、今はどうなったか? 懐かしき、青春の日々ユダヤ人の友人は?彼は生き延びたのか?そして…今度はナチに協力した として、連れて行かれたドイツの幼馴染みの友人は?彼はどうなった?同じく学園で過ごした 留学生のアメリカ育ちの日系人… 伝え聞いた話だと 本国に帰還後 彼は軍に入り激戦地に…学者か教師になりたいと 言ってた彼は、何故、軍に?そして どちらの国の?どちらも彼の故郷だというに楽しかった学園の寮での 生活彼らは無事か?牢獄に繋がれる事など、幸いなかったものの明日の行く末など わからぬ身の上愛しい家族とは引き裂かれ ここは…壁の中愛しい人は壁の向こうに向こうから大きな銃声が響き渡る 壁から、逃れようとした 人々が、警備の兵士に撃ち殺される話など よくある話だ…幼い娘は、銃声におびえ、父親にしがみつく「大丈夫だよ」 彼ら親子は 何処かに立ち去り 長い月日 壁が壊される日まで鉄のカーテンと呼ばれる ベルリンの壁は在りつづけた 彼は、 ユダヤ人である妻の優しげな笑顔を思い出す…歴史は幾重にも繰り返す人は嘆きを繰り返しながら 希望を探すそれは 此処以外でも・・ どこでも 起こりうるのだから
夜の祭り、七夕祭りの夜に貴方は 恥ずかしそうに、はにかむように笑っていたんだ。七夕の竹に綺麗に飾りつけた色の鮮やかな短冊達が穏やかな夜風、夜の風にそよめき…揺れいた。その時には、更々と重なり合う音が鳴っていた。「また…来年も会えるといいな…」「明日からは就職で東京に行くのよね」浴衣姿の貴方は言葉を紡ぐ。「東京に会いに行きたいねでも、ごめんね、入院中の母さんの世話があるから」「分かっている、きっと必ずメールするね」「うん、約束」「この前、学校の先生に教わったネット電話スカイプだったけ、スカイプ、あれをやってみょうか?どうだい?」「スカイプね、ネット電話のやり方がまだ上手く出来ないわ」「大丈夫、お互いに無事に設定が出来たら、沢山、話せそうだよ、大丈夫だから」「うん」彼女は笑う…それは楽しそうに「向こうの…都会の東京の話を沢山ね、聞きたいわ」「沢山ね…沢山、きっと話すよ」僕は笑う「また来年…新年は僕は、きっとね、仕事の関係で戻って来れないから」「来年の夏に夏祭りに、この七夕祭りに…また」「ええ」彼女は笑う…。そして、ほんのりと浮かぶ彼女の瞳の涙 とても、とても綺麗な涙だった。淡い恋、それが僕たちの恋の約束